こんにちは。
管理栄養士の北村絵梨子です。
「自分自身を変えたい」
私が栄養指導の中で実際に対象者に言っていただいた言葉です。
初めは仕事や家庭の愚痴のオンパレード。健康や栄養の話は全く出来ませんでした。
ですが、指導の中でたった一つのことを意識することで、「自分自身を変えたい」という発言を引き出すことが出来ました。
他にも、
- 「参加してよかった」
- 「禁煙に取り組んでみるよ」
- 「受診してみようかな」
など、栄養指導の中で前向きな目標を立てる方が多数いらっしゃいます。
実は、栄養指導で与えられる時間は、たった30分から40分。
わずかな時間の中で一体何をしたのかについて書いていきます。
読むことで、栄養指導やカウンセリングの中で実践したくなりますよ。
もくじ
栄養指導でやる気を出させるために必要なのは「相手の話を聞くこと」
約4年間で、1600人近くの方に栄養指導を実施した中で気が付きました。
栄養指導で一番大事なことは、「聞くこと」なのです。
栄養指導の仕事を始める前、一番不安だったのが、
いうことでした。
参加者の中には、自分の体や健康に興味のない人、制度そのものに文句を言う人や、仕事での愚痴をこぼす人もいます。
私が主に携わらせている特定保健指導では、必ず生活習慣改善のための目標を立てないといけません。
ですが、指導者が立てた目標を実施するのでは、全く意味がないのです。
私の役割は、自らが「これなら出来る」と思える目標を立て、実施してもらい、生活習慣の改善につなげる手伝いをすることです。
目的を達成するためにも「聞くこと」は本当に大事なことなのです。
栄養指導で話を聞くメリット
「聞くこと」で得られるメリットは3つあります。
「話を聞く」ことで信頼関係が生まれること
1つ目は、信頼関係が築けることです。
初めましての方に、食事の内容や生活習慣の話をするのは、なかなか勇気がいります。
なので、この場では安心して話してもいいという雰囲気を作り出すことと、信頼関係を築くことが本当に大事です。
天気の話、着ている洋服の話、何でもいいので、相手のことを聞いてみてください。
緊張を和らげるという点でも効果的ですよ。
実際、ある方に栄養指導とは全く関係のない話(休日の過ごし方から釣りの話になりました)をしてから本題に入ることで、「とても話しやすくなった」と感じていただきました。その後の話も円滑に進みます。
自分にも相手にも必要な情報を得られること
2つ目は、必要な情報が得られるということです。
「甘いものがやめられない」という場合、週に何回食べるのか、時間帯はいつなのか、どんなものをどれくらい食べるのか、までは聞いていると思います。
ですが、相手を知るのにはまだまだ情報量が足りません。
一歩踏み込んでみて、「やめられない理由」や「どういう時に食べたくなるのか」なども聞いてみてください。
やめられない理由で提案する内容は変わります。
例えば、
- 家族が甘いものを買ってくる 買ってくるのをやめるよう言う
- 寄り道したついでに買う 寄り道をしないようにすればいいと提案する
というように、理由一つで提案できる内容も変わってきます。
行動を引き起こす背景の情報も聞き出してみましょう。
「やりたい」と思える行動につながること
3つ目は、自ら「やりたい」と感じ、行動するようになることです。
話を聞いていくうちに、勝手に相手が自分自身に必要な行動を導き出します。
話すことで、自分の行動を振り返ることにつながります。
うまく話を聞くことができれば、指導者からのアドバイスはあまり必要ではなくなります。
アドバイスが必要な場合でも、話を聞くことで相手の受け入れ体制が整い、こちらの話も入りやすくなります。
もちろん、専門職として知識を伝えることは必要です。
相手の話を聞くことで、本当に必要なもの、相手がほしいと思っている情報を伝えることが出来るのではないでしょうか。
栄養指導やカウンセリングで明日から使える「聞く」スキル
つまり、栄養指導やカウンセリングで大事なことは「聞くこと」です。
栄養指導やカウンセリングの中で実践したくなったのではないでしょうか。
実際にどんな方法を使って「聞くこと」を実施しているのか?主なポイントとしてはこちらの5つです。
- 相手にペースを合わせる
- 相づちを打つ
- 相手の言葉を繰り返す
- 接続詞を使って聞く
- 時には沈黙することも
ぜひポイントを意識してみてくださいね。